基本的にアルスター・コートはダブルステッチが入りますが、今回はお客様のご希望でフロントにはシングルのみいれてあります。ダブルにするとエッジの印象が若干重く、固くなってしまうのでシングルを選んで頂いて大正解でした。
身体の動きに合わせてゆったりとドレープが動くことでゴージャスな生地の持ち味を引き出せるように
通常のアルスター・コートよりも背の分量を多めにバックベルト下のタックも深くとってあります。
前回同様のアルスター・コートの意匠であるピエゴーネ(PIEGONE)です。
ウエストでのタックとも相まって歩くたびにしっとりと揺れ動きます。
コートの袖付けは基本的にGiri Rimboccatiにしています。
ジャケットを下に来て頂く事を前提に造っていますので、コートは出来るだけ軽く。
だからパッドも無しでタレ綿もなし。おまけに袖の縫い代もぐるっと一周全てボディー側に折り込んで、一周ステッチで押さえます。
というわけで袖の内側は袖の裏地だけのライトな仕上げです。
毛並みの問題もありますが、できるだけフワッと仕上げるために仕上げのアイロンも必要最低限にしておきました。
一見ナポリのマニカ・カミーチャみたいですけど袖のアタマでとくに生地をギャザーのように入れることは無いのでもう少し控えめな印象です。
今回使ったボタンは(推定)40年ほど前の象牙椰子のモノ。
染色の仕方が違うということで組織の中の染まりにムラがでてとても味わいがあります。