私がこのサルトという職業に就くと決心したのは17歳の時でした。
もちろんそれ以前からスーツやジャケットがとても好きでした。
他人からはよく不思議がられますが、でもなぜか物心ついた頃から好きなんです。

結局、高校卒業後すぐにサルトの職に就くことはせず、
わざわざ大学に入ってスーツの聖地Savile Rowを擁するイギリスの文化を学び、
ロンドンに語学留学をしてはSavile Rowの職人やマネージャーにインタビューをさせてもらったり、
日本の有名縫製工場で生産管理をさせて頂き、工場生産というものの特徴と可能性を学び、、、
と紆余曲折の経緯をたどりました。

一見無駄なような遠回りをしたことで
『スーツ』というものをいろんな視点からとらえることができました。
ある時は時代と社会を反映する装置として、
ある時は憧れの最高級手工芸品として、
また、ある時はローテクを盛り込んだ工業製品として。

そうして最終的に現在までミラノでどっぷりとサルトリア文化に浸っているわけです。
その自分なりの、服作りにおける基本姿勢はあくまでも、

『着飾るための服ではなく、人に馴染んでいく服』

に徹すること。足し算ではなく引き算の末の服作り
この考えとミラノの服作りがとても近く感じたからこの町を離れることがなかったのだろうと思います。
以前にも少し書いた様に、ミラノの服はとてもシンプルです。
意図的に外面の特徴を削ぎ落とすかの様なデザインで、

ラインがシャープで、程良く男性的で、
洗練という表現がしっくりくる服だと考えています。
そして、だからこその静かな存在感。

服そのものもさることながら、
ここミラノで何世代にもわたって数多のサルトが試行錯誤し切磋琢磨したおかげで、
後々、伝説のサルトリアがひしめく、黄金時代をむかえました。
おそらくその最期の瞬間に自分が居合わせるその意味。
そしてミラノのサルトリア文化を支えてきた先人へのリスペクトも込めて、
私の服作りも勿論ミラノのクラシックを踏襲しています。
ヨーロッパで、そしてミラノで先達によって数百年受け継がれてきた歴史や伝統、文化から切り離して服作りをすることはもはや考えられなくなってしまいました。

その上で私の服への考え方を幾つか挙げておきます。

● シワの美学
● クラシックの踏襲(執筆中)
● SARTORIA

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