前回のアルスターに引き続き、新年2作品目は。
最もスタンダードにして、最も深みのある色。ミッドナイトブルー。
デザインも徒に目を引かないクラシック。
実はこれが一番難易度が高い。
胸ポケットを斬るラペル。
先が浮くのではなく、肩先に溶け込んでいくのが美しい。
ミラノ的なバストドレープ。
ラペルの返りと、ポケットのカーブと、袖の存在感と、
ジャケットで最も抑揚のある場面です。
肩線は一見ストレート。
しかし襟に隠れた部分と、袖に近い部分では
体に合わせてほんの僅かにカーブが異なります。
腰、ウエスト、胸、袖、肩、衿、、、
全て異なる曲面で構成されるジャケット。
全部、大袈裟に見せず、かつ身体を想起させる。
夜の水面のうねりのように。
なめらかに。